解体工事② 石綿含有建築資材の除去作業
工事部の保坂です。
前回に続き解体工事に関する事項で本工事における石綿含有建築資材の除去作業についてお話しします。
事前調査としてライフライン設備や石綿含有建築資材、PCB調査等の準備作業を済ましたあと、調査結果に応じて建物自体の解体工事に着手となりますが、先に行っていた石綿※含有建築資材の調査で含有判定とされた際の作業要領は次のようになります。
※石綿=アスベスト
石綿が含まれた建材を解体工事では「壊す、運ぶ、捨てる」のですが、ご存知の通り石綿は人体に悪影響を及ぼす為、石綿含有建材を取り扱う際は建材の種類によって作業レベル区分が設けられています。
レベル1: | 石綿含有吹付材 |
レベル2: | 石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材 |
レベル3: | その他の石綿含有建材(成形板等) |
このように3つのレベル区分があり、数字の小さい「レベル1」が最も石綿の飛散性が高く取り扱いにおいて作業規制が高まります。
今回、ご紹介する内容はレベル3扱いの建材(外壁面に吹付け塗装した塗装材に石綿が含有)ではあるのですが、飛散性としては作業の進め方によっては高まる為、レベル1の作業要領を活用しながら進めました。
作業の進め方
①施工前状況
②作業前清掃
石綿含有建材を撤去した際に他の材を混入させないよう、事前に清掃しておく。
③養生設置
撤去作業において飛散、落下、撤去物以外への付着による残置等を回避する為に施します。
④撤去作業
乾燥した塗装材を撤去する為に何も処置せずに剥がす、削り取ろうとすると粉塵が舞い飛散するので石綿含有建材専用の剥離剤を塗布した後(24時間経過させる)に飛散対応の上、剥がし取ります。
⑤撤去した塗膜材を厳重に2重梱包して袋詰めします。
1梱包目
2重梱包目
⑥撤去後状況
吹付け塗装前の外壁素地面が現れます。
⑦飛散防止剤湿布
見た目では塗装材が無くなったかのように見えますが、取り残しや飛散防止措置として飛散防止剤を塗布致します。
⑧養生撤去
撤去作業で生じた石綿含有建材が付着した養生材にも飛散防止剤を塗布した上、撤去します。
この養生材も石綿含有建材と同様に2重梱包して袋詰めに致します。
⑨最終清掃
石綿含有建材の残置が無いよう、吸引力が高く吸引物を袋詰めパックで回収できる掃除機で清掃します。
⑩石綿含有建材の搬送、処分
作業場内に設置した石綿含有建材保管場所へ移動していた建材を運搬車に積込、シート囲いして適性に処分する。
石綿含有建材の撤去作業について、以上のようになります。
工事を行う作業員の安全確保に加え、周辺地域にお住まいの方や環境に影響を出さずに作業を済まさなければなりません。
非常に注意深く、慎重に行わなければならない工事になります。
次回は解体の本工事・躯体解体について、お話しさせていただく予定です。