輪読「あたらしい家づくりの教科書」①
「温熱」を制すれば「家づくり」を制す
このパートの執筆担当「前」先生。
東京大学の准教授です。
昨秋、前先生の講演を拝聴し、大変感銘を受けました。
家づくりのプロでさえ「温熱環境」を正しく理解している人は少ないとのこと。
本来、極めて大切な家づくりにおける「温熱環境」
でも今まで後回しだったのはなぜか?
「問題点を視覚で確認できなった」ことも後回しの要因だと思います。
前先生の凄いところ。
分かりにくい温熱を身近に感じされてくれる。
使う道具はサーモグラフィーカメラ。
分かりにくい温熱の世界をカラフルに見せてくれます。
時に、ご自身が被写体となりユーモアたっぷりに。
ある調査があります。
新しい家を購入した方への4つの質問
1)家族ではじめに重視した点
2)設計者から勧められた項目
3)話し合って大事にした項目
4)住んだ後の満足度
「室内温熱環境」は
1),2),3)は上位にランクされますが
4)住んだ後の満足度は極めて低いのです。
その原因は設計者や工務店が正しく「室内温熱」を理解していないから。
言い換えれば正しい知識の不足とも言えます。
人間が恒温動物であることの理解がまず必要です。
常に周りの環境の中で体温を維持しています。
人は触れている空気と周りの壁・天井など
の固体に熱を取らせながら体温を維持しています。
周りの固体が適度な温度(=基礎温度)を持っていれば、
室温は必ずしも高くなくても寒くありません。
放熱が小さい=「暑い」と感じる
放熱が大きい=「寒い」と感じる
放熱が適切=「快適」と感じる
日本は
「夏」は暑く・湿度が高い
「冬」は寒く・湿度が低い
世界の国の中でも難しい条件下で家づくりです。
人間の熱を「夏」「冬」でどれくらい捨てるか?
ここが重要なポイントです。
暖房・冷房器具で室内が均一温度にすることは至難の業。
人は「足元が寒い」「上半身が暑い」
ということで不快に感じます。
暖房・冷房機器の性能を考える前に
まずは建物の断熱性を先に考えなければいけません!
家づくりでのポイント
「熱い天井にしない」「冷たい窓・壁にしない」
この二つを解決できれば「不快」の元が減らせます。
快適な温熱環境の家とは、
年間を通じて天井や壁がいつも適温です。
ですから中にいる人間も「暖かい」「涼しい」を感じない。
常に快適であるということです。
本の中で高断熱の家がどのように優れているかサーモグラフィー写真で示されています。